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開咬は歯を噛みしめた時に、上と下の前歯の間にすき間が開いてしまい、食べ物が噛み切れないような症状のことを指します。
オープンバイトとも言われており、前歯がまったく接触せず開いた状態になるのが特徴です。重度の場合は、噛みしめても奥歯付近しか接触しないこともあります。
開咬の原因は「遺伝性」と「後天的な原因」の2つに分けられます。遺伝性の場合は顎の骨の形状に問題があり、顎の成長とともに進行していくのが特徴です。
後天的な原因は幼少期の指しゃぶりで前歯が伸びきらなかったり、飲み込みの時に舌を出す癖などがあったりすることが挙げられます。おしゃぶりや哺乳瓶の長期間使用、片側だけ頬杖をつく、ハンカチやペンを噛む癖があるなどとの生活習慣も原因となるので注意が必要です。
その他には、口呼吸も開咬の原因になるといわれています。口呼吸が習慣化してしまうと舌癖が出やすく、飲み込みのたびに前歯を舌で押してしまうことになり、開咬になりやくなるのが原因です。口呼吸を長く続けていると唇の筋肉が弱まり、口腔内の筋肉のバランスが崩れて歯並びが乱れてしまうのも原因となります。蓄のう症やアデノイド扁桃腺肥大など、成長期に呼吸器系の疾患がある場合、口呼吸になりがちなので注意しましょう。
開咬になると口が閉じにくくなるため、口呼吸が習慣化します。そのため普段から口があいている状態となり唾液の分泌が減少し、口腔内が乾燥して細菌が繁殖してしまうのがデメリットです。虫歯や歯周病にかかりやすくなったり、将来的に歯を失ってしまったりという原因となります。口臭の原因にもなるため、歯を守るためにも対策が必要です。
通常の歯並びだと、前歯と奥歯がバランス良く機能して互いに負担を軽減させられます。開咬になると前歯で噛むことができないため、奥歯ばかりに負担がかかってしまうのがデメリットです。負担がかかりすぎると、奥歯の寿命が短くなってしまいます。
奥歯で噛み続けることで顎の筋肉や骨にも負担が増加するため、顎関節症のリスクも高まるでしょう。
開咬となると話す時に上の歯と下の歯の隙間に舌を入れたり、うまく舌を動かすことができないために舌足らずな発音となります。特にサ行・ザ行の発音が聞き取りにくくなるので会話の際は不便に感じるでしょう。いわゆる「滑舌が悪い」しゃべり方となり、幼い印象を与えてしまうことがあります。
鼻呼吸では鼻毛がフィルターとなるため、呼吸の際にホコリやウイルスが体に侵入しにくくなります。ですが開咬により口呼吸が習慣となると、口の中にウイルスやホコリが侵入しやすくなります。体の不調を訴えることが多く、風邪やインフルエンザなどにかかりやすくなるかもしれません。
前歯で食べ物を細かく噛み切るのが難しいため、大きな食片のまま飲み込むことが多くなります。そのため、嚥下障害を起こしやすくなるのがデメリットです。胃や腸の負担が大きくなるので、お腹を下す胃腸障害にもなりやすいでしょう。
特に成人の場合に顕著になりますが、顔の下半分、鼻から下顎にかけて長くなり面長な顔立ちになります。上下の唇が合わさりにくく、無理に閉じようとすると顎の先に梅干し状のシワができやすくなるため、人によってはデメリットだと感じるでしょう。口呼吸のために常に口がポカンとあいているので、顔の印象にも影響を及ぼします。
開咬治療の第一選択肢となるのは、ワイヤーを使う従来型のマルチブラケット装置による矯正方法です。細密な歯の動きを可能にするため、難治である開咬の治療にも対応できます。見た目が気になる人は、歯の裏側につける裏側装置での治療も可能です。
ただ開咬治療で選択できる人は限られることが多く、場合によっては利用できない場合もあります。マウスピース型の矯正装置による治療は、取り外しが可能です。
※歯科クリニックや治療プランによって、費用や治療期間は異なります。